ややもす

偽物のような風景と、ものさし。

手触りのいい

原爆ドーム

広島に住んでいると、この時期この場所では特別な光景を見たりする。

といっても自分はこの景色についてとても強い気持ちを全面に出してくる人はあまり得意では無いと思っているのだけれども、それでもやっぱり、この時期のこの場所はなんとも言えない特別な、不思議な場所になる。
具体的には多くの人のこれまた特別な気持ちみたいなものが肌にすすすすと触れてくるような、そんな感触がしてたまらない気持ちになる。

そういえば感触といえば、最近の自分は手触りってのを特に気にしているなと思う。
あ、いや、手じゃなくて、もちろん目も、肌も、自分に何かしらの刺激を与える対象と触れ合ってる部分の話。それが物理的であっても、もっと精神的な何かであっても。

手触りについて考えると、それはとてもシンプルで洗練されているものが多くて、長い時間がそうさせたものだったり、強い思いがそうさせたものだったり、そういったものはスッキリとして、好みだとか好みじゃないとかじゃなく、滑らかに自分に入ってくる。

今の自分はごちゃごちゃとしたしようもない言葉とか、それを濁す取るに足らないジョークばかりを繰り返すことしかできずに、あまり手触りのよい何かにはなれていないと思う。
こんな諦めと怠惰でザラザラとした自分でも、少しずつ重ねれば何年か先にはもう少しだけ滑らかに、触れていたくなるような何かになれるのかなと大きく深呼吸してみる。